





その店はなかなか行くことのできない、
たどり着くことの出来ない、幻の名店と呼ばれております。
といっても、予約が取れないだとか、行列で入れない、
そんな下らないことではなく、
ただ、営業時間、営業日が極端に少ない、それだけの理由。
近所に暮らして随分長いことになりますが、
友人と共に、こうして無事、入店できたのは、二回目でございます。
腰をかがめて皿洗いをしてくれるおかあさん、
「ごめんやでー」と謝り続けながらせかせか調理してくれる
おとうさんを見ながら、、待つのもなかなか良いもので。
と、いううちに、やはり表の張り紙は閉店となり、
どうやら最後の客になった、僕たちは、お客が減った店内で、
優雅に昼食を頂くわけでありました。
おとうさん曰く、この店のウリは「水」だそうで、
食事中もやたらと、「水いっぱい飲まなあかんで!」
「うちの水は美味しいからいっぱい飲みいや!」と
声を掛けてくれるわけです。
そんなに、水押しをされると、なんだか、水が特別に
美味しい気がしてきたのは、、気のせいでしょうか。
その日が夏日で、とても、暑かったせいでしょうか。
なんにせよ、美味しい(気がする)水をたくさん頂き、
なんだか、とても得した気分になりました。
ごちそうさまでした。